長野地方裁判所 昭和63年(わ)76号 判決 1988年8月29日
本店の所在地
長野県茅野市豊平五三一番地一
第一米沢総業有限会社
右代表者代表取締役 矢島久志
本籍
長野県茅野市ちの二五四四番地一
住居
同市仲町二四番地三二号
会社役員
矢島久志
昭和九年七月二二日生
主文
被告人第一米沢総業有限会社を罰金一六〇〇万円に、被告人矢島久志を懲役一年にそれぞれ処する。
被告人矢島久志に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人第一米沢総業有限会社(以下被告人会社という)は、長野県茅野市豊平五三一番地一に本店を置き、精密機械部品の製造販売等を目的とする資本金五〇〇万円の法人(昭和五九年一〇月七日以前は、一〇〇万円)であり、被告人矢島久志(以下被告人という)は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、架空仕入及び架空外注加工費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上
第一 昭和五九年四月一日から昭和六〇年三月二〇日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が一億三〇一三万三七四一円であつたにもかかわらず、昭和六〇年五月一八日、同県諏訪市清水二丁目五番二二号所在の所轄諏訪税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七五九二万五一五八円であり、これに対する法人税額が三一七四万二九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額五五二一万三七〇〇円と右申告税額との差額二三四七万八〇〇円を免れ
第二 昭和六〇年三月二一日から昭和六一年三月二〇日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が九一三七万五三一六円であつたにもかかわらず、昭和六一年五月二〇日、前記諏訪税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二一八八万七五一七円であり、これに対する法人税額が八三三万二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額三八四一万一〇〇円と右申告税額との差額三〇〇七万九九〇〇円を免れた
ものである
(証拠の標目)
一 被告人兼被告人会社代表者の当公判廷における供述
一 被告人兼被告人会社代表者の検察官に対する各供述調書
一 五味由美子、小平一英、西山幸三、小池喜蔵、山崎幸男、矢島毅、寺尾慶演、武藤伴江の検察官に対する各供述調書
一 山崎若雄作成の供述書
一 西山幸三、小池雅人、山崎俊雄、森岡正博、山崎若雄各作成の各答申書
一 諏訪税務署長作成の昭和六二年四月八日付証明書
一 大蔵事務官作成の材料売上高調査書、材料仕入高調査書、外注加工費調査書、支払い手数料調査書、接待交際費調査書、交際費の損金算入限度超過額調査書、事業税認定損調査書、受取利息割引料調査書、寄付金の損金不算入額容認調査書、有価証券及び同売却損調査書
一 大蔵事務官作成の各法人税査察更正決議書
一 工藤歩作成の証明書
一 検察官作成の報告書
(法令の適用)
判示各所為のそれぞれ法人税法一五九条一項(被告人会社につき更に同法一六四条一項)に該当するところ、情状により被告人会社につき同法一五九条二項を適用し、被告人につき所定刑中各懲役刑を選択し、以上の刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社につき同法四八条二項により合算した金額の範囲内で罰金一六〇〇万円に、被告人につき同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一年にそれぞれ処することとし、被告人につき同法二五条一項によりこの裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予することとする。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 中野保昭)